佐賀県武雄市にオンリーの自社工場 「オンリーファクトリー」 があります。 ファクトリーにひとたび足を踏み入れると、 意外にも静かで穏やかな環境でスーツが作られていることがわかります。テーラーメイドはここで縫製しており、 その数は年間 2 万着超。今日もまた 「お客様に着てもらいたい一着があるから」 と、 お客様のスーツを作り続けています。 その背景には工場内の湿度管理や生地の保管方法、 生地のカッティングから縫製、 仕上げのプレスまで、 スーツづくりに欠かせない様々なこだわりとノウハウが蓄積されています。

また、オンリーファクトリーは、海外の提携工場への技術指導も担っています。縫製の各工程をくまなくチェックし、理由や原因を解明して指導するから、指導後帰国してからもリバウンドすることがほとんどありません。オーダースーツも既製スーツも、生産する場所にかかわらず分け隔てなく、徹底的に品質にこだわる。自分たちで企画して、作り、販売するオンリーのこだわりです。
オンリーファクトリー7つの特徴
1工場内の湿度は常に60%
工場内の加湿のために、半導体工場で使用される超音波加湿器を、天井に10台設置しています。蒸気の分子がタバコの煙より細かいため、スーツや機械に水滴がつきません。
2生地をリラックスさせて収納
生地の収納庫には約300種類の生地を常備。ロールの状態で届く生地をいったん広げ、畳んで収納することで、生地がリラックスします。このひと手間で布地の目が整い、仕上がり後の歪みが少なくなります。
3職人がロータリーカッターで裁断
自動裁断機を使用せず、職人がロータリーカッターで裁断します。熟練の技術で難しい生地の柄合わせもミスがなく、ハサミで裁断するより素早く、かつ正確に作業できます。
4生地パーツに水蒸気を含ませる
工程でも縮絨をはじめ、生地の裁断後、芯据え前、見返し据え前の4工程で加湿を行います。こうすることで、生地の豊かな風合いが際立つ、型崩れのしにくいスーツが出来上がります。
5手持ちアイロンで立体感を出す
手間のかかる工程ですが、マシンをつかったプレスよりも、手持ちアイロンの方が人体の曲線に近くなります。オンリーのスーツは立体感が生み出す見栄えの良さが売りのひとつです。
6シロセット加工を標準装備
全てのスーツには、型崩れを防ぐために、ジャケットの袖とパンツのクリースにシロセット加工を施しています。全国シロセット加工業協同組合の視察・技術指導を定期的に受けるなど、精度の高い加工を行っているのは私たちの誇りです。
7機材はきちんと手入れして長年使い続ける
場内にはコンピュータ制御の大型マシンはほとんどありません。およそ200を超える工程の多くは職人が手作業で行い、若い世代へ技術を継承しています。機材もきちんと手入れして、長年使い続けるのがこだわりです。
コンピュータ制御のマシンを備えた工場が増える中、オンリーファクトリーは、職人の技や感性を重視したものづくりを続けている。その品質には定評があり、オンリーの新商品の開発やパターンの監修に加え、中国にある提携工場の指導・監修を行っている。
「私たちが手がけているのはオーダースーツです。既製品と違って一着ずつ生地やサイズ、仕様が異なるため、手間がかかりますし、作業には慎重を要します。ただ、その分、お客様にはスーツに深い愛着を感じていただけるはず。職人たちもみんなやりがいを感じています」(山口工場長)
4万1800円から仕立てることができるオンリーのテーラーメイド。完成したスーツに袖を通してみれば、オンリーファクトリーの実力、いや日本のものづくりの力を感じることができるはずだ。