【≪徹底解説≫オーダースーツの価格差はどこに出る?】ONLY福岡天神店

2025.04.15 | ONLY 福岡天神店

いつもショップブログをご閲覧いただきまして誠にありがとうございます。

ショップブログ担当の多田羅です。

 

福岡に移住して早くも2か月が過ぎました。

最近は夕飯の献立を何にしようか日々悩んでいます。

食べ物が美味しい土地なのでたまに外食もするのですが、単身で来ているのでめんどくさいが勝ってしまっていますね・・・。

 

さて今回はオーダースーツの値段の差は何?という内容です。

世間にはかなりの数のオーダースーツ屋がありますが、価格差も3万程から100万近いところまで何がそうさせているのかを解説できればと思います。

 

オーダーの大まかな区分

 

まず最初にオーダースーツの大まかな区分を説明します。

 

  • フルオーダー(Bespoke・Sartoriale)
  • イージーオーダー(Made to Measure・Su misura)
  • パターンオーダー(イージーオーダーと同じ名称)

 

日本ではこの様に区分されていることが多いです。

( )に書いているものはイギリス・イタリアでの呼称です。

 

こうやって区分していますが、どこからがイージーオーダー等の制約がないのでお店によって書き方が変わります。

私個人の解釈としては以下になります。

  • フルオーダー・・・型紙を一から作成し、フルハンドメイドで仕立てる物
  • イージーオーダー・・・既存の型紙を使用し、サイズ、体型の癖などの補正を入れフルハンド又はマシンメイドで仕立てる物
  • パターンオーダー・・・既存の型紙をベースに一定の補正値修正を行い主にマシンメイドで仕立てる物

イージーオーダーとパターンオーダーは説明がし辛い部分ですが、ここが日本独自の解釈の差が生まれている大きな部分でもあると思います。

 

それも相まってか、お店の名前やブランドにイージーオーダーやパターンオーダーと名前の入るお店は見たことはありません。

そのお店の方々もこのあたりのニュアンス的な部分は伝え難い上に、分かってもらうことが難しいから書かないのだろうと思っています。

 

正直オーダーの区分に関しては言ったもん勝ちな部分も多く、メンズドレスに対しての知識が浅い方が多い日本人は「フルオーダー」と書いていれば売れる部分もあると思います。

知っている人からすると全く信用できない店になるんですけどね・・・(笑)

因みにめっちゃ意地悪なことを言うとオーダースーツの店員さんが自分を「テーラー」というのは間違いです。

テーラーは本来スーツを丸縫い出来る職人を指す言葉で、採寸している私たちは「フィッター」になります。

 

さて大まかな区分をしたところで本題の価格差について言及していこうと思います。

 

価格差はどこに出ている?

 

ある程度の前提が分かったところで本題に移ります。

価格差ですが、前述している通りオーダーの区分によって変わります。

 

【フルオーダー>イージーオーダー>パターンオーダー】

手間暇がかかる分価格が上がる構図ですね。

最もわかりやすいところだと思います。

あとは「生地」ですね。

高級な服地や素材を使用すると価格が上がります。

素材でいうところ「カシミア/シルク/モヘア/ビキューナ」等は価格がウールに比べ上がります。

その他に生地の織元の差もあります。

「ノーブランド/国内ブランド/海外ブランド」の大きな分け方になります。

さらにその中で更にブランドのクオリティと生地グレードが変わります。

生地グレードを分かりやすく車で例えると会社は「トヨタ」だけど、「レクサス」もあれば「カローラ」もあるよねって感じです。

同じ会社でもグレードの差があるみたいなイメージです。

因みに「バンチブック」と呼ばれる生地の見本帳ですが、こちらも自社で取り扱う生地とは別に生地商社を経由して生地を仕入れるルートがあります。

生地の種類の多さをウリにしているブランドさんなどは基本的に生地商社経由での取り扱いがメインとなるため、生地価格が自社取り扱い生地に比べ価格が高価になる傾向です。

次に縫製のグレードと副資材などのクオリティ差です。

これも国内で縫製するのか、海外で縫製するのか、更にハンドメイドなのか、マシンメイドなのか、副資材に何を使っているのか等の部分です。

一昔前までは国内縫製というのは凄くいい言葉でした。

Made in Japanに対しての信頼の高さが伺えます。

最近は円安の影響もあり、日本製の方がが安かったりすることもありますし、昔のように中国製が粗悪品という事も全くないので、あまり生産国に関しては意味を持っていません。

副資材に関してもある程度の価格のスーツには芯地が入っていることが多いです。

芯地の素材にも様々あり、化学繊維のものから獣毛を使ったものまで幅広いです。

こちらも化学繊維のものを比較的安価となっており、バス毛芯と呼ばれる馬の尻尾の一本毛を使用した毛芯を「本バス(馬巣)」と呼び高級毛芯としております。

ここまでは表面的な部分もあるので、分かりやすいところも多いですが、生産コストには人件費も勿論含まれています。

私たちフィッターと呼ばれる採寸者には資格は必要ありません。

服飾の学校を出る必要もなければ、名乗るだけなら働くだけで名刺にはフィッターと役職が付くような業界です。

資格がある美容師でさえ能力差が激しい状態で、無資格の私たちの能力差はとても幅広いです。

大手だから安心ということもなく、これに関しては相性の良いスタッフを引くまで粘るに限ると思います。

大雑把にはなりますが、このあたりが多く存在するオーダースーツの価格差に現れます。

受注生産だからこそ見えない不安も多々あるかと思いますので、是非ご参考いただけますと幸いです。