THE APPEAL OF ONLY PARACHUTE WOOL FROM HAYASHI

ONLYが新たに開発したスーツ生地、「パラシュートウール」に服飾評論家、林 信朗さんが感じたこと

テーラー発祥の知見を生かし、数々のスーツ生地を開発してきたONLY。なかでも今回紹介する「パラシュートウール」は、歴代随一の完成度を自負する自信作だ。 もともとは、芯地類を排除することで、ソフトで軽い着心地を実現した大ヒットした「サンタルチアゼロ モデル」のために開発されたもの。梳毛と紡毛(※1)をミックスしたパラシュートウールの特長は軽くてしなやか、そしてふんわりとした温かみのある風合いにある。 そう、この生地は「サンタルチア ゼロ」の持ち味を100%生かすことができる特別な生地なのだ。 その実力を明らかにするべく、今回はメンズファッション界のご意見番、林 信朗さんを招聘。これまで星の数ほどの高級生地に触れてきた服飾評論家の目に、パラシュートウールはどのように映ったのだろう?

※1梳毛と紡毛……梳毛は毛足の長い羊毛を引き揃え、短い繊維を取り除いたなめらかで光沢感のある糸。対する紡毛は、梳毛には掛かりにくい繊維長の短い羊毛で作った糸のこと。
ハマの酒場を愛する
メンズファッション界のボス
服飾評論家
林 信朗さん

1954年東京生まれ。日本最古のメンズファッション誌『MEN'S CLUB』をはじめ、紳士のためのライフスタイルマガジン『Gentry』、『DORSO』の編集長を歴任。現在は服飾評論家、執筆家、編集者として活動中。メンズファッションに関する博覧強記ぶりはファッション業界でも随一。

「こんな時代だもの、秋冬の生地だって軽くなくちゃ」

林さんは店のカウンター席に腰を掛けると、両手でスーツを広げた。まるで本の文字を読み取るように生地を見つめる。 「とにかく軽いってのがいいね。今どきの生地はこうでなくちゃ。がっしり目の詰まった英国風の生地もいいけれど、今、自分が着るなら、ついついこういう生地のほうに手が伸びますよ」

「着心地が軽いのも大切ですが、『軽やかに見える』というのも大切だと思います。見るからに重厚なスーツを着ていると、自分はともかく、周囲の人たちがくつろいだ気分になれませんから。その点、この生地は見るからに軽やか。梳毛と紡毛の混織生地だからなのか、表面は梳毛のようになめらかで、かつふんわりとしたふくらみがある。こうした視覚的な軽やかさって、秋冬用の生地で表現するのが難しいんです」

「軽いのに温もりがある。その両立が難しい」

林さんの興味をそそったようだ。席を立つと、ジャケットに袖を通した。 「アンコン仕立てだけあって、まるでカーディガンのような着心地です。ただ、こうしたアンコン仕立てのスーツって、生地が本当に大切なんです。重い厚手の生地だと、仕立ての軽さが損なわれてしまうし、かといって、薄手の頼りない生地だと、大人が着るのにふさわしくない。その点、この生地は軽いのに、適度なふくらみがあって、秋冬の生地らしい温もりが感じられる。つまり、仕立てと生地のコンセプトがきちんと調和しているんですね」

PARACHUTE WOOL DOUBLE

OTHER ITEM

パラシュートウールを使ったコートもラインアップ

生地はスーツと同じパラシュートウールだが、コート用の生地は糸の番手が太いため、若干しっかりとしている。「長年、冬はクラシックなトレンチコートを愛用してきましたが、今ならこういうライトなコートがしっくりきますね。スーツと同じくアンコン仕立てだから着心地が軽くて、袖付けも腕が動かしやすいラグランスリーブ。パラシュートウールのエアリーな風合いとマッチしていると思います」

「ビジネスシーンだけでなく、休日にもさらっと羽織りたい」

「フロントは比翼仕立てで上品な印象だけど、左右のパッチフラップポケットでカジュアルなスパイスがきいているから、カジュアルシーンにもよさそう。オンオフ使えるオールパーパスコートになるでしょう。私が着るなら……そうですね、カシミアのニットを合わせて、首元はシルクのスカーフをふんわり、といった着こなしが気分です」
「軽い着心地や温もりのある風合いもいいですが、現代的な仕立ての魅力を引き出すことができる点がパラシュートウールの最大の魅力だと思います。化繊を使わずに、ウール100%でこういう生地を作っちゃうところにも、テーラー発祥のONLYらしさを感じますね」

PARACHUTE WOOL COAT

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